越後三山周辺町(新潟) 津久の岐山(810.0m)、鼓が倉山(1036.8m) 2023年3月11日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 5:37 駐車箇所−−6:01 尾根に乗る(標高400m)−−6:21 下部TVアンテナ(標高460m)−−6:29 上部TVアンテナ(標高510m)−−6:35 549m峰−−6:57 622.3m三角点峰−−7:22 638m峰−−7:54 津久の岐山−−9:04 鼓が倉山 9:30−−10:27 津久の岐山 10:36−−10:56 638m峰−−11:15 622.3m三角点峰−−11:37 549m峰−−11:39 上部TVアンテナ−−11:43 下部TVアンテナ−−11:58 駐車箇所

場所新潟県魚沼市
年月日2023年3月11日 日帰り
天候快晴
山行種類残雪期の籔山
交通手段マイカー
駐車場栃尾又温泉手前の尾根末端に駐車
登山道の有無TVアンテナのある標高510m付近までは尾根上にあると思われるが、それ以降に道は無い
籔の有無549m峰〜662m三角点峰間は雪が落ちて潅木藪が出ているが、他は残雪で藪は埋もれて快適。しかし気温が高い状態が続くと尾根が痩せた区間では来週には藪が出てしまうかも。無雪期の状況はおそらく灌木藪と思われる
危険個所の有無出出しが急斜面で雪質によってはアイゼン、ピッケル必携。鼓が倉山手前では痩せた雪稜があり転落注意。また多くの区間で稜線の片側が切れ落ちており、尾根直上は雪の踏み抜きのリスクあり
冬装備スノーシュー、10本爪アイゼン、ピッケル
山頂の展望両山とも良好
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント数年来暖めていた計画を実行。当初はシルバーライン開通後にシルバーライン駐車余地から登ろうと考えていたが、未開通で雪が多い時期に下界から登って藪を避けた方が得策と判断して後年の週末を狙って実行。結果的にはこの選択は大正解で大半の区間は藪が埋もれて先週よりも格段に雪が締まって早朝は快適に歩くことができた。ただし気温が高く帰りは雪が腐って体力を消耗した。この日は山中で計4人を見かけたのには驚いた


鼓が倉山から見た毛猛山。昨年歩いた未丈ヶ岳周辺の稜線もまだ真っ白で藪は出ておらず快適に歩けそうに見えた


尾根末端から取り付く 最初から急斜面。固く締まって10本爪でも滑った
標高400m付近で尾根に乗る 見下ろすと急斜面
標高400m付近。雪が無いと灌木藪 標高460m付近のTVアンテナ
上部に別のTVアンテナが見える 標高510m付近のTVアンテナ
549m峰直下 549m峰てっぺんから東を見ている
549m峰からの360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
530m鞍部付近。ぎりぎりで雪が残っている状況 今年初のマンサクの花
雪が切れると灌木藪。ザックのスノーシューが引っかかる 北側の尾根に2人組発見! 下山中だった
610m肩で北上。ここも酷い灌木藪 622.3m三角点峰のイグルー。2人組のものだろう
622.3m三角点峰から見た津久の岐山と鼓が倉山 622.3m三角点峰東直下の雪壁
先人の足跡。昨日のものだがかなり薄い 590m鞍部でスノーシュー装着
638m峰手前から見た津久の岐山、鼓が倉山
620m鞍部からの登り返し 標高720m付近
津久の岐山山頂
津久の岐山から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
津久の岐山から鼓が倉山へ向かう。最初だけトレースあり 830m峰手前。南側は切れ落ちている
820m鞍部からの登り。クラックあり
標高830m付近から見た西の870m峰と鼓が倉山
西の870m峰から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
西の870m峰から東の870m峰への稜線。カモシカの足跡 東の870m峰から西の870m峰を見ている
860m肩から見た鼓が倉山へ続く尾根。痩せた雪の土手状 860m肩から見た870m峰
右は切れ落ちて左に傾いた雪面はスノーシューでは歩きにくい 870m鞍部付近。雪が落ちたら灌木藪だな
標高890m付近 標高900m付近
標高910m付近は急斜面 標高910m付近の急斜面を見下ろす。帰りはバックで下った
標高970m付近 標高1000m付近
鼓が倉山山頂は目の前 鼓が倉山山頂
鼓が倉山山頂から見た360度パノラマ展望写真(クリックで拡大)
鼓が倉山から見た守門岳と毛猛山
鼓が倉山から見た未丈ヶ岳北側の1352m峰。強烈だった藪は雪の下 鼓が倉山から見た未丈ヶ岳
鼓が倉山から見た未丈ヶ岳南側の1370m峰。強烈だった藪は雪の下 鼓が倉山周囲は高い木は無く低木や草が中心
西側から鼓が倉山山頂を見ている 下山開始。往路を戻る
鼓が倉山から枝折峠へと続く稜線 東の870m峰から西の870m峰を見ている
西の870m峰から見た津久の岐山
西の870m峰南側の850m肩から西を見ている 820m鞍部から見たシルバーライン地上部分(スノーシェッド)
830m峰付近 830m峰から見た津久の岐山
津久の岐山山頂で休憩 休憩を終えて出発
標高650m付近で2人組とすれ違う。おそらく幕営だろう 620m鞍部付近から見たシルバーライン。津久の岐山はここから取りつく
2人組のワカンの足跡 中央に622.3m三角点峰が見えている
622.3m三角点峰遠望。尾根上の雪壁が良く分かる 標高610m付近。この先が雪壁
シルバーライン地上部。駐車余地が2箇所見えていた 雪壁直下
622.3m三角点峰。イグルーの一部は崩れていた 622.3m三角点峰から見た北西尾根
622.3m三角点峰から見た西尾根 帰りも灌木藪を漕ぐ。北西尾根を下るのが正解だったかも
610m肩から西を見ている 標高570m付近
530m鞍部から549m峰を見上げる 549m峰から南西尾根を下る
標高510m付近 中央の谷間が大湯温泉
標高450m付近 標高390m付近
標高360m付近から上を見ている 標高360m付近から下を見ている
間もなく車道でデブリ登場 ゴールイン! 雪が緩んで下りだけど疲れた!


 新潟には不遇な山が多いが津久の岐山と鼓が倉山もそんな山の一つ。シルバーラインがトンネルで潜っている直上の稜線の山であるが登山道は無く、豪雪地帯でこの標高では猛烈な根曲がり潅木藪が予想され、常識的には残雪期にしか登れないだろう。

 シルバーラインが直下(ただし大半は地中)を通っているので、常識的にはシルバーラインの地上部分で一番稜線に近い場所から適当に尾根に取り付いて山頂を目指すのが一般的であろう。ただし、残雪期はどの駐車余地が除雪されているのか分からない。一番近そうな場所で駐車余地が見当たらないなんてことがあり得る。また、過去の経験からすると4月に入るとシルバーライン周辺の雪解けが進んで尾根に出るまで藪漕ぎの確率が高い。できれば開通直後にアタックしたいところ。

 そこでネットで調べたら今年はまだ未開通で、奥只見丸山スキー場の営業予定からして3/18から開通しそうな気配である。それを待ってもいいが週末に天候が恵まれるとは限らない。よりによって今週末は土日とも広範囲で好天予報であり、週半ばから好天と高温状態が続いたので雪の締まりが期待できる。こうなるとある程度時間がかかるルートに突っ込みたくなる。

 そこで考えたのが今回のルートである。地形図を見るとシルバーラインを使わずに下界から登ってもそれほど距離も標高差も増えない。時期が早いので藪がまだ出ていない可能性が高い。シルバーラインは大型連休直前くらいまでは夜間通行止めでスタート時刻が制限されるが、下界から歩くのならば制限は無い。いいことずくめである。

 取り付きをどこにするかであるが、できるだけ南向きの尾根を登るように考慮すると栃尾又温泉が最適と判断した。できれば温泉からさらに先に延びる林道を歩いて532m標高点のある尾根を登って638m峰で津久の岐山への尾根に乗るのが理想だろう。林道の状態が悪い場合は温泉の北側の尾根を登れば良い。

 前日の金曜日は長野では暖かい雨が降り、おそらく現地でも雨であっただろう。その後気温が低下したが真冬ほどではない。雪質を考慮するともっと下がって欲しかったのだが。夜の早い時間に出発して飯山付近で気温は+4℃前後。新潟県に入っても同程度で0℃を切ることは無かった。

 小出経由で栃尾又温泉に到着し、温泉の先に延びる林道の様子を見ようと進んだら温泉の敷地内で除雪終点で、その先は高さ数mの垂直の雪壁で人間でも登るのは不可能な状況であった。よって温泉北側の尾根を登ることに決定。温泉の駐車場は避けて尾根末端付近の除雪駐車余地に駐車。ここなら迷惑はかからないし目の前の斜面に取り付けばいい。

 翌朝、朝飯を食ってぎりぎりライトが必要な程度の明るさになった時刻に出発。冬装備はスノーシュー、ピッケル、10本爪アイゼンと先週と同じにした。最初はスノーシューはザックにくくりつけてあるので背中が重い。

 最初は道路法面の急雪面で杉の植林で日当たりが悪い影響か潜りまくるが、目の前は立木が少ない急斜面でありスノーシューでは危険なのでここでスノーシューを使うわけにはいかない。短い植林を抜けて急斜面に入ると雪が硬く締まって長靴ではステップが切れないのでアイゼン装着。しかし爪が短い軽量アイゼンなので10本爪でもグリップはイマイチであり、靴底が柔らかい長靴で無理やりキックステップしてできるだけ歯を食い込ませる。この雪質と傾斜、植生では滑ったらピッケルでも止めるのは無理なので慎重に登っていく。この斜面には雪崩防止の柵が何箇所も設置されていたがこの斜度と大気の少なさでは雪崩が多発しそうである。実際にデブリが滑り落ちた場所もあった。

 右手に尾根形状が見えてきたので傾斜が少し緩い箇所をトラバースして尾根に乗る。尾根幅は狭く傾斜はきついのでアイゼンのまま登っていくが、前方にTVアンテナが見えた。雪が少なくなった箇所を見るとどうも尾根上にアンテナメンテナンス用の道があるようだった。アンテナは2箇所あり、下部のアンテナは複数の地デジ用アンテナが、上部は1本の地デジ用アンテナが上がっていた。栃尾又温泉と大湯温泉のものだろう。

 TVアンテナを通過すると549m峰に到着。ここから見る尾根は南側の雪は落ちてしまっていて尾根直上に筋状に雪が乗っている状況。来週にはこの雪が落ちてしまいそう。尾根上で雪が切れた箇所は笹は無く潅木藪の連続であった。ここで今年初のマンサクの花に遭遇。新潟では尾根上の潅木藪の正体がマンサクなんてことが良くある。灌木藪にザックのスノーシューが引っかかって隙間を通り抜けるのが大変であった。

 549m峰以降は尾根が東向きとなり太陽の方向を見ながら歩くことになり、今日の天候では日焼けが確実であり今シーズン初めて顔に日焼け止めを塗った。ちなみに天気予報では気温が高くなると言っていたので今シーズン初めて麦わら帽子も持ってきた。この時間はまだ不要であるが日中は大活躍であった。

 緩やかな鞍部から登りに変わると雪が落ちて潅木藪を突っ切る場面が増えてくる。この時期でももう雪が無いのか。藪漕ぎしていると左手から人の声が。最初は空耳かと思ったがよ〜く探したら一本北側の尾根の肩に2人の姿が。ザックの大きさからして幕営と思われたが、私のようにこれから鼓が倉山を目指すのか、それとも目的は昨日に達して今日は下山なのだろうかと考えていたら下山であった。しかしまあ、シルバーライン開通前に登る人が他にいるとは驚きだった。

 標高600m付近で尾根が左に曲がると残雪はほぼ落ちて潅木藪の連続で背中のスノーシューが藪に引っかかりまくる。最近は横向きにスノーシューをくくりつけているがこれは藪漕ぎでは失敗だ。脱着が面倒になるが以前のように縦にくくりつけるようにするか。ただしそれには固定用のバンドが必要だが車に積んでいないので来週からかな。

 622.3m三角点峰に到着すると残雪が復活し、雪のブロックを積んだイグルーが登場。先ほど下っていった2人組の宿に違いない。私もスコップを購入して挑戦してみようかな。このピークは見晴らしがよく津久の岐山が良く見えていた。どうやら雪が落ちて藪が出ている区間は無いようだ。2人の新しいスノーシュー跡は北西の尾根を下っていて、津久の岐山方向にはかなりぼやけたスノーシュー跡が残っていた。ということは2人は昨日に津久の岐山に登ったわけだ。この先はトレースがあるはずなので潜り方は少なくなるかな。

 山頂を下るといきなり雪が切れて2mくらいの雪壁登場で、ピッケルを併用して下の岩に降り立つ。その後は再び雪が復活して雪の上を歩く。2人の足跡は昨日の雪解けで凸になっているのが面白いが、この出っ張りに足を乗せると全く沈まないので非常に楽。それ以外の場所ではアイゼンでは足首まで潜った。

 638m峰の登りにかかると尾根幅が広がって潜り方が酷くなったのでスノーシューの出番。さすがスノーシューで沈み込みは1,2cmに収まるが、それでも昨日の足跡の全く沈まない状況よりは疲れるので、できるだけ足跡の上を歩いた。しかし足跡が分からない場所もあり、そんな場合はできるだけ日当たりのいい場所を選択した。この標高では昨日は雨だったようで新雪は見られないが、南に見えている越後駒ヶ岳は明らかに新雪で白くなっているので、標高が高い場所は雪だったようだ。

 638m峰も展望がいいピークで津久の岐山は目前である。あそこまでもずっと雪が続いて藪の心配は無い。津久の岐山への登りは一時的に杉の植林帯?があるが概ねブナの自然林が続く。ブナがあるのは安全地帯の証拠でいいことだ。そういえば今回のコースでは危険箇所を示す針葉樹は無かったなぁ。

 幅の広い尾根を登っていくと徐々にブナも無くなっていって最後は立木皆無の丸い大雪原の山頂が津久の岐山だった。立木が無いので山頂標識は見当たらないが展望を邪魔するものが無いので360度の大展望。東にはこれから向かう最終目的地である鼓の倉山が見えているが、見える範囲では藪は出ていない模様。左手には真っ白な桧岳〜毛猛山。さすが大型連休の時期とは雪の量が違う。今なら藪は皆無だろうが大白川から先の国道は未除雪のままだろうからアプローチが悪すぎる。国道が通行止めのままでも尾根取り付きまで国道が除雪されたタイミングが最適期だろう。

 東に向かって下っていくと最初の肩地形でスノーシュー跡が途切れた。どうやら2人は鼓が倉山へは向かわなかったようだ。もったいない気もするがそれは私の価値観であり、彼らにとっては津久の岐山が目的地だったのだろう。これまでも無数のカモシカの足跡があったが、この先の尾根上でもたくさんのカモシカの足跡があった。帰りがけには新しい足跡が私のスノーシューの跡の上から付けられていた場所もあった。なかなかご本尊にお目にかかれなかったが下山時のTVアンテナ付近で南斜面を逃げていく姿を見ることができた。ただしあっという間に視界から消えてしまって写真を撮影する暇が無かった。私はいじめないので適当な距離で立ち止まって生暖かく見守って欲しかった(笑)。

 津久の岐山から広い尾根が続いていたが830m峰付近から尾根の南側が切れ落ちて雪も南斜面には無く尾根直上から北側だけに変わる。斜めの雪面はスノーシューの苦手分野で足には妙な力がかかって脛側面の筋肉が非常に疲れる。こんな時はワカンの方が歩きやすいのだが。雪の端は崩れる危険があるので斜めの雪面を歩かざるを得ない。場所によっては北斜面にクラックが入っている箇所もあり、隠れた亀裂にはまらないように注意する。スノーシューを履いたまま穴に落ちると脱出が面倒なだけでなく、場合によっては足首や膝に怪我を負う可能性もある。特に私の場合は左膝に古傷があり靭帯を痛めやすいので注意が必要である。なお、左膝の怪我はほぼ完治しているが以前の状態と100%同じまでは回復していない。怪我から1年半経過してこの状況では後遺症として一生残るのかもしれない。

 尾根が左に曲がって870m峰への登りにかかっても相変わらず右手は切れ落ちた斜面で左に傾いた雪面を上がっていく。地形図では870m峰は東西に2つのピークを持つが、現場感覚では西側のピークの方が明らかに高いように見えた。西の870m峰は顕著なピークで立木は皆無で360度の大展望。山頂部は東西に延びた小さな雪庇で、鼓が倉山へ続く東の尾根は雪庇を下るが段差は1m程度しかないし垂直ではないので、ピッケルが無くてもスノーシューで普通に通過できた。

 西の870m峰から先は右手斜面の切れ落ちた状態は解消してほぼ左右対称の尾根が復活。尾根直上を歩けるのはスノーシューにとっては有り難い。ナイフリッジ気味だが幅があるのでスノーシューのままでも問題なく歩けた。

 東の870m峰から先の尾根を見ると再び尾根の右側は切れ落ちて垂直な雪壁と化し、左に斜めになった雪面を歩かなくてはいけない。尾根直上北斜面に乗っている雪が消えたら灌木藪に違いないが、今の残雪状況だと4月まで持たないのではないかと心配してしまう。これは今後の気温と雨の降り方次第であろう。特に温かい雨が降ると急激に雪解けが進むので雨は要注意だ。

 880m峰を越えて鞍部付近は雪が両側から狭められてまるで土手のよう。ただし幅は1mくらいあるのでスノーシューのままでも安全に通過できた。おそらくここが最初に雪が落ちて藪が出てしまう区間だろう。ここにもカモシカの足跡が多数あった。

 鞍部から登りに変わるとやっと痩せ尾根が終わって水平な雪面を歩けるようになる。標高980m付近は尾根は広いままだがかなりの急傾斜で、帰りはスノーシューのままでバックで下った場所であるが、私のスノーシューなら登りならピッケル併用で突破可能だった。

 急斜面を登り終わって傾斜が緩むと南に尾根が分岐する。この尾根は枝折峠から越後駒ヶ岳へと続く主稜線であるが、残念ながら枝折峠への国道が開通するのは残雪が溶けた後なので、この尾根を歩く人はほとんどいないであろう。今回は鼓が倉山への高みを目指して立木がほとんど無くなった広い緩やかな尾根を進む。そして待望の鼓が倉山山頂に到着。

 山頂周辺には立木は皆無で、雪が割れた箇所から見えているのは森林限界のような低灌木や地を這う石楠花と枯草で、無雪期はおそらく低灌木藪に覆われているのだろう。今の時期は雪庇が最高点である。文句なしの360度の大展望で好天の日に登れたことに感謝だ。ただし風が無い影響か空気の透明度は悪く、最も遠く見えている山は柏崎の米山であった。残念ながら周囲の山々の方が標高が高いので、平野に面した西側以外は近場の山しか見えない。しかしその近場の山々もマイナーピークのオンパレード。最も目立つ存在は越後駒ヶ岳ではなく毛猛山塊の桧岳。鋭く尖ったピークである。その右手には毛猛山。あそこに登ったのは大型連休前半であり今から1ヵ月半後くらいであるが、その当時は中岳から毛猛山にかけては藪が出てしまっていたが、今はまだべったりと雪が乗っていて藪は皆無。その右手には昨年登った大鳥岳、未丈ヶ岳と続くが、あれは天候の関係で大型連休後半に登ったがあちこちで藪が出ていて苦労したが、今の時期はその区間も全て雪が乗っていた。あのコースを歩くならシルバーライン開通直後の方が良かった。その稜線の奥には村杉半島の山々が立ち並んでいるはずだが、残念ながらここからでは四十峠、未丈ヶ岳や大鳥岳の稜線にブロックされて全く見えなかった。

 久しぶりに本格的な残雪の山でロングコースだったために疲労は隠せず山頂で休憩。山頂で飯を食うのも久しぶりである。行動中に水を飲むのも久しぶりで、私の場合は真夏の北アルプスでもほとんど水を飲まないが(夜間登山で山頂到着が日の出の時刻で気温が上がる前には下山してしまうため)、今回は持ってきた水約250ccは行動中に使い切って下山時はあちこちで雪を食っていた。それだけ汗をかいたということだろう。ちなみに行動中に手袋不要になったこと、半袖でも寒くなかったのは今シーズン初めてであった。

 休憩を終えて下山開始。往路を戻る。帰りは気温がさらに上がってスノーシューが沈むようになり、特に登り返しで体力を搾り取られた。たまらず津久の岐山でも休憩。日向は暑いくらいで葉が落ちた立木の僅かな日影がありがたかった。

 津久の岐山から下っていると標高650m付近で夫婦と思われる男女のパーティーが上がってきた。彼らの足元は伝統的な木製ワカンでザックの大きさからして幕営と思われた。早朝に下山する2人組を見かけたのでもしかしたら他に登ってくる人がいるかもしれないとは思ったが、実際に出会うとは。イグルーの2人とすれ違ったとの話であり、旧大湯スキー場から622.3m三角点峰北西尾根を登ってきたようだ。地元在住とのことで私が長野からやってきたと話したら驚いていた。尾根が痩せた区間のナイフリッジの状況を聞かれたので、スノーシューのままでも問題なく歩ける程度と答えておいた。この付近は尾根幅が広いので歩きやすくて助かる。

 622.3m三角点峰直下の尾根の雪が切れてできた高さ2m程の雪壁はピッケルを使ってスノーシューのまま突破。てっぺんのイグルーは気温上昇で崩れた壁があった。ここで本日出会ったり見かけたりした4人が使った北西尾根を使うべきか考えた。ここから見る限りでは北西尾根の方が雪のつながりが良さそうで藪を避けられる可能性が高そうである。一方、私が使った尾根は雪が落ちて灌木藪が出ている箇所が何か所もある。ただし、北西尾根は最後はスキー場に入ってしまうので営業時間中は面倒であろうと判断して往路の尾根を使うことにしたが、帰りに北西尾根末端の大湯スキー場前を車で通過したらスキー場は廃業していた。だったらこちらの方が駐車場もあるしゲレンデは残っているのでスキー場内は灌木藪は皆無で歩きやすいしでいいことずくめ。北西尾根を使うのが正解だった。

 三角点峰以降は灌木が出ているのでここでスノーシューを脱いで長靴で藪に突入。しかしザックに括り付けたスノーシューが藪に引っかかりまくって難儀する。やっと雪がつながるようになって藪から解放されるが左が切れ落ちて雪面は右に傾いているので雪に潜るが長靴のまま歩き通す。549m峰からの下りも所々に灌木が出ているのでスノーシューは使わず、最後の急斜面の下りもスノーシューが苦手な地形なので長靴のまま。往路ではカチカチに固まってアイゼンの歯しか刺さらない状態だったが、帰りは緩んでツボ足では膝まで潜るほどに。ブレーキがかかって滑落の心配が無いのはいいが下りでも疲れた。デブリに乗って沈まなくなる頃には車道は目の前だった。最後は法面気味の急な雪面を下って尾根末端の駐車余地に到着した。

 車に戻ってからは着替えてから濡れた装備の虫干し。今回も膝上まで踏み抜くことが何度もあり、スパッツの隙間から雪が入ってズボンも靴下も濡れてしまった。今後は何らかの対策が必要かも。日差しが強いので車の屋根の上で干しておいたらほぼ乾いていた。


まとめ
 津久の岐山、鼓が倉山とも藪回避を考慮するとシルバーライン開通前の残雪が豊富な時期に旧大湯スキー場から登ってしまうのがいいだろう。豪雪地帯とは言え標高が高いとは言えないので、特に主尾根に出る前の枝尾根や、主尾根でも尾根幅が狭い場所では早い時期に雪が切れてしまうだろう。標高の割には展望がいいコースでありお勧めである。まだ雪が締まり切っていないこの時期に鼓が倉山まで日帰りで歩くには、それなりの体力が必要である。雪質によっては幕営が必要となるだろう。

 

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